こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。
「申告書とは」「決算書とは」と検索すればきちんとした定義が出てきますので、それはそちらにお任せして、今回は実際に税理士さんから「はいこれ」と言って申告書を渡された方向けに、
- 申告書がどういう順序で並んでいるのか
- それぞれどういう役割があるのか
についてざっくりとまとめてみました。
申告書と決算書って両方聞くけど何がちがうの?
複数の税理士さんとお付き合いをしたことがある方はわかるかもしれませんが、決算が終わったあとにもらえる書類一式を「申告書」という税理士さんもいれば、「決算書」という税理士さんもいます。
なので、口頭で言うとき、これはほとんど同じ意味、「申告書 ≒ 決算書」ぐらいの意味合いで話に出ることがあるのです(もちろん違うものですよ)。
書類一式が綴じてあるファイルをもらったことがある方は、表紙に「決算報告書」と書いてありませんか?
今回は便宜上その書類一式を『申告書一式』と呼んで話を進めたいと思います。
また、この『申告書一式』の中で、一番重要なものが「法人税」の申告書ですので、法人税に絞って話をしていきます。
申告書一式の構成
法人税の申告書は、大まかに言うと次の図のような構成になっていることが多いです。
- 申告書
- 決算書
- 内訳書
の3部構成という感じですね。
2番めの「決算書」と、3番めの「内訳書」は、税理士さんや会社さんによっては順番が逆であることもあります。
順に役割を見ていきましょう。
1.申告書
まずは申告書です。図の薄い青色の部分ですね。
申告書には「税金の計算をする」という役割があります。
決算書の中にある「損益計算書」の一番下に「当期純利益(当期純損失)」という項目があるかと思いますが、
- その当期純利益をこの申告書に持ってきて、
- 税金の計算上必要な足し引きをして、
- 「税金の計算上の利益」(所得といいます)を算出して、
- 税金を計算する
という面倒な工程を行っているわけです。
表紙はこんな感じ。「青色申告」という言葉に合わせて青い紙を使っていることも多いですね。
2.決算書(一番重要!)
次に決算書(決算報告書)です。図の薄い緑色の部分ですね。
この役割というか、これ自体が「会社の業績や財政状態を表しているもの」です。
決算書はもう少し中身を詳しく見ます。中小企業さんですと、最低限、
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
の3つは入っているかと思います。
このほか、税理士さんによっては、
- 販売費及び一般管理費(損益計算書の中ほどに組み込まれている場合もあります)
- 注記表
- キャッシュ・フロー計算書
が入っていますね。特に下2つは、銀行対策上必要だったり業績の把握のために必要だったりするので、私は通常作成します。
上で『「申告書 ≒ 決算書」ぐらいの意味合いで話に出ることがある』と書きましたが、もし取引先から「決算書を見せてほしい」と言われたら、出すのはこの真ん中の部分だけで大丈夫です(特に要望がないかぎり)。
銀行以外、一番上の申告書を外部の方に見せることはそうそうありませんので、そこは混同しないようにお気をつけください。
表紙はこんな感じ。使っている会計ソフトによって様式が違ったり、貸借対照表などの記載のしかたが違ったりしますが、中身は一緒です。
3.内訳書
最後に内訳書です。図の薄い黄色の部分ですね。
これは表紙に「勘定科目内訳明細書」なんて書き方をしていることもあります(表紙がないことも多いです)。
これの役割は、その名前のとおりなんですが、「勘定科目の内訳を記したもの」です。
たとえば貸借対照表に「売掛金 100万円」と出ていたとしても、それが「A社に100万円」なのか、「10社に10万円ずつ」なのか、が決算書だけだとわからないんですね。
もしA社に100万円だけだった場合、「もしA社が潰れちゃったらどうするの?」という疑問が湧いてきます。
このように、会社の状況がよりわかるよう補足するためにつけて、決算書の主要な内訳を記載するのがこの内訳書です。
(上述したように表紙はないことも多いので画像は省略してしまいました)
まとめ
というわけで、
- 申告書と決算書のちがい
- 申告書一式の構成
- 申告書とは
- 決算書とは
- 内訳書とは
についてまとめました。
省略してしまいましたが、3番の内訳書の下に「事業概況説明書」などその他の書類をつける形式が多いです。
ただ今回は大まかにご説明するのが趣旨なので、とりあえず「3部構成」なんだなと思っていただければ。
以上、法人税の申告書の大まかな構成でした!
■ そのほか決算関連の記事はこちら!
⇒ 『決算決算というけれども具体的に何をしたらいいの? 決算の基礎知識②』
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