こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。
わたくし、東京の秋葉原 or ZOOMによるテレビ電話にて、個人事業主の方の単発のご相談をお受けしております。
2019年分(令和1年分)の確定申告をするのにあたって、
・これから確定申告書を提出するんだけど、65万円の控除って受けてもいいの?
(すでに青色申告がスタートしている方向け)
・2020年から青色申告にしたいんだけど、これから届出を出せばOK?
(これから青色申告にしたい方向け)
というご質問を受けることが最近続いたので、この2つについて解説をまとめました!
めちゃくちゃ期間限定なんですが。。。
※「2020年6月時点」の情報です!
↓ メニュー的な目次
目次
新型コロナウイルス関係の「青色申告65万円控除問題」と「青色申告承認申請書問題」についてまとめ
2019年分の65万円の青色申告特別控除、期限後になってしまうけど適用できる?【2020年6月現在】
※ こちらは「2019年以前に青色申告の手続きが完了している方」が対象です
まず最初の疑問、
「これから確定申告書を提出するんだけど、65万円の控除って受けてもいいの?」
について、結論を先にざっくり書くと、確定申告書に特定の記載をすれば65万円の控除を受けてもOK です。
特定の記載というのは、申告書の右上の余白に、
「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」
と書くことを意味します。
↓ こんな感じ
出典:国税庁FAQ(PDFへのリンクのためご注意を)
「65万円の控除って何?」
という方は、『青色申告のメリット7つをざっくり図解!』で解説をしております!
本来は3月15日までに提出しないと65万円の控除は受けられない
こちらの 「65万円の控除」、もう少し正確には「65万円の青色申告特別控除」と言います。
「65万円の控除」は、意味合いだけざっくり解説すると、「65万円の経費が増える」のと同じような効果があります。
ちょっと正確ではないのですが、「控除」などの専門用語で頭がこんがらがってしまう方は、とりあえずそういう理解をしておけばOKです。
この制度、青色申告にすることで受けられる特典のひとつですが、本来は申告期限内に確定申告書を提出すること、という条件があります。
言葉がややこしいのでかんたんに言うと、「毎年3月15日までに確定申告書を税務署に出すこと」が65万円の控除を受ける本来の条件 です。
(3月16日以降に出した場合でも、10万円の青色申告特別控除は受けられます)
【2020年限定】新型コロナウイルスの影響なら、3月16日以降でもOK
なので、2019年の分の確定申告に限って言うと、本来2020年3月16日までに出さないとこの65万円の控除を受けることはできませんでした。
(簡便に「毎年3月15日」と書いてますが、3月15日が土日の場合、その次の月曜まで延長されます。なので2020年は3月16日が期限でした)
しかし、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大があり、2020年限定で、申告期限が1カ月延長される→その後さらに無期限に延長、という流れになっているのが2020年6月17日現在です。
- 感染症の患者に濃厚接触した疑いがある
- 発熱の症状があるなど、感染症に感染した疑いがある
- 基礎疾患があるなど、感染症に感染すると重症化するおそれがある
- 緊急事態宣言などにより、感染拡大防止の取組みが行われている
などの状況に該当する方が、この期限の延長の対象になっています。
全国で緊急事態宣言が出されましたし、税務署の確定申告会場で毎年確定申告書を作成されていた方も多いと思いますので、実際にはほとんどすべての方が該当するものと思ってよいでしょう。
つまり、2020年6月に、2019年分(令和1年分)の青色申告として確定申告する個人事業主の方の場合、
申告書の右上の余白に、
「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」
と記載することで、65万円の控除を受けることができます。
↓ こんな感じ
出典:国税庁FAQ(PDFへのリンクのためご注意を)
ただ、6月時点では無期限で延びていますが、今後どうなるかはわかりません。
なるべく早く出してしまいましょう!
そして青色申告の方は、来年はぜひ3月15日に間に合わせましょう!
筆者が投稿日時点で問い合わせた結果を記載しております。
ご不安な方は、最寄りの税務署か、税理士などにご相談ください。
貸借対照表を添付するなど、「65万円の青色申告特別控除」を受ける条件を満たしている方を前提として解説しております。
2020年から青色申告にしたいんだけど、これから届出を出せばOK?【2020年6月現在】
※ こちらは「これまで青色申告の届出を出したことがない方」が対象です
次の質問として、
「2020年から青色申告にしたいんだけど、これから届出を出せばOK?」
にお答えします。
これは 状況によって OK な人と NG な人がいます。
青色申告にするには?
そもそもの話ですが、青色申告にするためには、
- その年の3月15日までに(新しく開業した場合は、開業日から2カ月以内に)
- 「青色申告承認申請書」という書類を税務署に出す
という手続きが必要です。
なので、いままで確定申告をされていて、2020年から青色申告でスタートしたかった方は、本来「2020年3月16日まで」に税務署へ書類を出す必要がありました。
詳しくは『所得税の青色申告承認申請書の記入例』で税務署に出す書類の書き方も含めて解説しましたので、わからない方はこちらはご覧ください!
2020年からスタートできるかは「もう申告したか」で判断
で、こちらも新型コロナウイルスの影響で本来の「2020年3月16日まで」から期限が延びているわけですが、こちらは無条件に延びているわけではなく「延長 OK な人と NG な人」が状況によって分かれております。
どういうことかというと、
2019年分(令和1年分)の確定申告が終わっているか
が判断の分かれ目となります。
先にフローチャート的な図でご説明します。
- 2019年分の確定申告が終わっている人 ⇒ 2021年から青色申告スタート
- 2019年分の確定申告がまだの人 ⇒ 2020年から青色申告スタート
という分け方となります。
(ざっくりです。税務署への届出書の提出はどちらも必須なのでご注意を)
どうして2019年分の確定申告が終わっていたら、2020年から青色申告にできないの?
「どうして2019年分の確定申告が終わっていたら、2020年から青色申告にできないの?」
という疑問が湧く方もいらっしゃるかもしれないので解説しておきます。
(気にならない方は読み飛ばしてOK)
上にも書いたように、「3月15日までに税務署へ書類を提出すること」が青色申告を新たにスタートするときの本来の条件です。
これを、新型コロナウイルスの影響で外出できなかった、などの事情を考慮して、「2020年に関してはゆるゆるでいいよ」ということになっています。
これは普段ではあり得ない、ものすごく特例的な扱いです。
で、白色申告だったのか、それ以外での申告だったのか、それは人によるところですが、とにもかくにも
「2019年分の確定申告ができた = 2020年から青色申告するつもりならそのとき書類を出せたはず」
とみなす、ということのようです。
逆に、2019年分の確定申告がまだできていない方は、依然として新型コロナの影響がつづいているだろうということで、
2019年分の確定申告と一緒に青色申告承認申請書を出すなら、2020年から青色申告を認めましょう
という扱いがゆるされています。
注意事項2点
注意事項として、
- 2020年から個人事業がスタートした方は別
- 2020年からOKな方もとにかく早めに書類を出す!
の2つをまとめておきます。
まず前者ですが、こちらはあくまで
「いままで確定申告をしていたけど、これからは青色申告にしたい」
という方が対象です。
2020年から個人事業を始められた方は、原則どおり「事業を始めた日から2カ月以内」に青色申告承認申請書を税務署に出せば、最初から青色申告でスタートすることができます。
また、これは2020年6月17日現在の状況であって、これがいつ終わりになるかは定かでありません。
おそらくですが、「2020年の間はいいよ」とはならないのではないか、という気もしています。
(もちろん今後の感染症の状況次第ですが)
2019年の確定申告がまだ終わっておらず、2020年から青色申告を始めたい方は、できるかぎり早いうちに処理してしまいましょう!
筆者が投稿日時点で問い合わせた結果を記載しております。
ご不安な方は、最寄りの税務署か、税理士などにご相談ください。
まとめ
というわけで、
(1) これから確定申告書を提出するんだけど、65万円の控除って受けてもいいの?
⇒ 新型コロナの影響を受けてる方なら、申告書の右上に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と書けばOK
(2) 2020年から青色申告にしたいんだけど、これから届出を出せばOK?
⇒ 2019年分の確定申告が終わっている人 は「2021年から」青色申告スタート
⇒ 2019年分の確定申告がまだの人は「2020年から」青色申告スタート
という2つの内容をまとめました。
(結論をざっくりとまとめているので、詳細はそれぞれの文章をご確認くださいませ)
税金関係でいろいろやらなければいけないのは大変ですが、営業などが「事業の攻め」に該当するとすると、税金関係は「事業の守り」に該当します。
来年以降は先手を打って、ぜひぜひ早めの対策をしていきましょう!
「自分はどうしたらいいのかわからない!」
という方は、わたくし税理士による単発のご相談をお受けしておりますので、ご相談くださいませ!