こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。
「書くならもう少し早く書け」とお叱りを受けてもしかたのない中途半端な時期ですが、お客さまの年末調整をやっていてあることを思い出したため書き残しておきます。
そのあることとは、アルバイトしているお子さんを扶養家族に入れていたらあとで税金の追加徴収をされた、という案件を過去に何回か見たこと。
どういうことなのか簡単にご紹介しておきますね。
「扶養親族」というのが法律的に正しい表現ですが、伝わりやすさを優先し「扶養家族」という名前で書いてあります
アルバイトしているお子さんを扶養家族にいれていたら……
守秘義務があるためぼかして書きますが、とある会社の従業員の田中さん(仮名)は、まだ大学生の息子さんを毎年扶養家族にいれていました。
そんなある日、会社のもとに 税務署から通知 が届きます。
「田中さん、息子さんを扶養家族にいれてますけど、息子さん結構収入ありますよね?」
会社が田中さんに聞き、田中さんが息子さんに聞いてみたところ、田中さんが扶養家族にいれていた息子さんはアルバイトをしており103万円を超える金額を稼いでいたのです。
そのため、田中さんは息子さんを扶養に入れることができず、10万円もの税金を追加で取られることになってしまいました。
扶養家族にいれるためには、1年間のお給料が103万円以内である必要があります。
『税金と社会保険の扶養を知りたい! 個人事業もパートもまとめてざっくり図解』で書いたように、奥さんや旦那さん(配偶者)は150万円以内なのですが、お子さんは103万円以内ですので注意しましょう!
どうして税務署にバレたのか?
会社⇒市区町村⇒税務署、という仕組み
さて、田中さんはどうして税務署にバレたのでしょうか?
それは、給与を出しているすべての会社は毎年1月末までに全員の給与を市区町村に報告しているからです。
(法律で決められた義務です。退職している場合には一部例外があります)
この報告する紙を「給与支払報告書(きゅうよしはらいほうこくしょ)」と言います。
多少様式はちがいますが、源泉徴収票に書いてある内容とほぼ同じことが書いてあります。
税務署に出すのは「一定の金額以上の人だけでいいっすよ」という決まりがあるのですが、市区町村は金額に関係なく全員分出す必要があります。
(その役員や従業員の方が住んでいる市区町村にそれぞれ出します)
そもそもどこか一つに出すだけでよければ会社にとっては楽なのですが、そこは縦割り行政。それぞれに出すかたちをとるわけですね。
なのでよくも悪くもすべての情報が共有されているわけではないのですが、一部「あれ、これ間違ってない?」という疑惑があるものは 市区町村から税務署へ報告が行くことがある、という流れになっています。
(マイナンバーが本格的に導入されたらまたどうなるかわかりません)
今回のケースの場合
なので今回のケースの場合、田中さんと息子さん、それぞれが働いた会社から報告が行って、
・田中さん ⇒ 息子を扶養家族にいれていると書いてある
・息子さん ⇒ 103万円以上のお給料もらったと書いてある
という状況から、
「あれ、息子さん103万円超えてるから扶養家族じゃないよね?」
と市区町村が気づいて税務署へ報告が行った、というのが事の顛末でございます。
なので、扶養家族にいれているお子さんがアルバイトしていた場合、
- 今年のお給料を確認する
- (今後もいれたいなら)年間103万円以上働かないよう注意する
- アルバイトも大事だが勉学にも励みなさいと伝える
という点に注意しましょう。
(年間というのは1月~12月のことです)
もし「いくら働いたかわかんない」という場合、息子さんのバイト先に「今年いくら稼いでいるか」を問い合わせて確認する ことが大事です。
可能なら早めに源泉徴収票を出してもらいましょう。
私が見たケースではたいてい「3年分は確認してね」という連絡が来たので、合計10万円以上もの大金を納めなくてはいけなくなったことも何度かありました。
また、そのほか、
- 税務署から連絡が来る時期は年末や年明けとは限らない
(その市区町村や税務署の、処理の量やスピードによってまちまちです) - 2年~3年分くらい溜めてから来ることも多い
- もし給与が103万円以下の年があったら、源泉徴収票やお住まいの市区町村で所得証明をとるなどして潔白を証明
というところにも注意してくださいね。
まとめ
というわけで、お子さんを扶養家族にいれていた場合の年末調整の注意点として、
- 税務署にバレる仕組み
- アルバイトしているお子さんを扶養家族にするなら、念のため年間のお給料を確認する
- 税務署から連絡が来る時期は年末や年明けとは限らない
- 2年~3年分くらい溜めてから来ることも多い
- もし給与が103万円以下の年があったら、源泉徴収票やお住まいの市区町村で所得証明をとるなどして潔白を証明
という点をまとめました。
いや本当に何度もあったので結構多いんですよ。
やりとりする義務は会社にあるので、こういう話は会社さんもご本人にはなかなか言いにくい場合もあります(^_^;)
これは社長(役員)であってもフリーランスの方であっても扶養家族にいれる場合は同じこと。あとあと税金をとられるのを防ぐためにも、確認はきちんとしておきましょう!
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