こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。
独立してだいぶ税理士の方とお知り合いになることが増えたのですが、先日お話ししていて、
「一人前の税理士になるには15年は必要」
とおっしゃられた先生がいらっしゃいました。
そのとき6年足らずで独立した自分が否定された気になり、ムキになって「私は5年やれば一人前だと思っています」と反論してしまったのですが(先生申し訳ありませんでした)、一度冷静な気もちで、
- 一人前の税理士になるには何年必要なのか
- そして独立するために必要な経験年数は何年なのか
を考えてみました。
一人前の税理士になるには何年必要なのか
いきなり話がそれますが、明日(2016年12月16日)、とうとう税理士試験の結果が発表されますね。
8月9日~8月11日が試験だったわけですから、実に4カ月以上。毎年のことながらこの期間めちゃくちゃ嫌ですよね(私はそうでした)。
私の税理士試験に対する思い入れは『税理士試験について』で書いたことがすべてなのですが、とはいえ知り合いの方も受けていますので、もちろん受かっていればいいなあと思う気もちはあります。
が、私は基本的に試験は個人のものだと思っています。
受かる人もいるし落ちる人もいる。よく言われることですが、「努力すれば必ず受かるというものではないけど、受かった人は必ず努力している」という言葉には頷くところがあります。
なにぶん長期間ですからモチベーションの維持がひたすら大変な試験です。結果がどうであれ、目的を強く持って、ときには見つめ直して、向き合っていってほしく思います。
私の感覚でいう年数
本題とは関係のない前置きを挟んだので結論から言うと、私の感覚では、
- 1.5年までは見習い
- 3~4年までは半人前
- それ以降は一人前
- 達人になるには長い年数が必要だが、そこまで到達しない人もいる
という感じです。
図にするとこう。
本当は半人前の卒業を「3年」って書きたかったのですが、ちょっとひよって4年も付け足しました。
ともあれ、そこらの税理士事務所であれば3~4年といったらあたり前に一人でお客さまを担当している年数です。
なんというかそんな状態でいつまでも「私まだ半人前ですんで☆」という姿勢でいるのもそれはそれでお客さまに失礼だと思うのです。
※ ちなみに、入社当初からいきなり担当を持つ事務所がほとんどだと思いますし、私もそういった事務所に入社しましたが、世の中にはそうでない事務所もあるのでこういった表現にしました。
独立したときの気もち
で、私のなかでは
「先はまだまだ長いからずっと勉強が必要だけど、ともかくも一人前になれたぞ」
という気もちで「これなら独立できるかな」と考えたわけです。
私のブログを見てレベル感をお笑いいただいても構わないのですが、不遜ながら私は
こんな位置にいるという感覚でした。
で、さらに不遜なことに、ほかの事務所の方の処理を見ることも増えてきたときに、
もうすでに開業して長い期間されているはずなのに、一人前に入ったところで成長をやめてしまった人もかなりいるような印象を受けたのです。
もちろん申告書は税理士がつくらない(事務所職員がつくる)事務所も多いですが、それでも税理士のOKは出ている(とみなされる)はずですから、その低いクオリティの決算書・申告書を見て、
「こんな決算書を出すなよ。おれがやったほうが絶対お客さんの役に立てる」
と思ったことも正直に申し上げると独立の理由の一つです。
(自称ほどうさんくさいものはないと思っているので、信じていただく必要はありません。私がそう自信しているだけです)
15年と言った先生の感覚
私の考えはさておき、その先生の感覚をまた図にしてみると、
こんな感じで、
「一人前か半人前かの期間が違うだけで、独立するための熟練度が足りないという意味ではなかったんじゃないか」
と改めて考えました。
つまり、「これまでも、そしてこれからも、多くの勉強が必要だよね」というのがその先生のおっしゃりたかったことなのかなあと。
そうであれば私もまったく同じ考えですし、「独立するには早かったんじゃないの」と言われた気になってややムキになってしまったことを深く反省した次第です。
何年の経験を積めば独立できるのか
さて、「一人前か半人前か」を考えたときに、ではと浮かんできた疑問が「独立するには一人前になっていなくてはいけないのか」。
はたして独立するために必要な経験年数というものはあるのでしょうか?
私は独立するために必要な経験年数なんてない、と今は考えています。
まったくの未経験で独立される方もいらっしゃいますし、それは経験した私からすれば「勇気あるなあ」「業務の概要わからないんじゃ…?」と思います。
が、それはただ自分の経験を基準にしているだけであって「ないならないでやりようはある」、また、先入観がないために柔軟なサービスを提供できる可能性がある、というのが実際のところなんだろうと思います。
それよりも重要なのは、
- 営業能力
- マーケティングの勉強と実践
- 自分のサービスを「ビジネス」ととらえること
のほうが圧倒的に必要だというのが独立してみた実感です。
『自分のサービスを「ビジネス」ととらえること』というのは「なにをあたり前のことを」という感じですが、ほかでもない自分が、
「税理士の仕事は税理士の仕事」
と、自分のこれまでの経験にもとづいた感覚で出立して、定義づけをすることなく始めてしまったなあと反省しているためです。
従来の税理士のビジネスモデルが確立されているので、あたり前に踏襲していくという感覚でいたことを甘かったなあと痛感していますが、独立してみなければ永遠にわからないことでしたので、そこが理解できたことはよかったと感じています。
おわりに
というわけで、とりとめもなく
- 一人前の税理士になるには何年必要なのか
- 何年の経験を積めば独立できるのか
という点について考えてみました。
ところで、上の図を作りながら、
「達人ってなんだよww NTTデータかっつーのwww」
という税理士業界の人にしかわからないハイクラスジョークを挟もうと思っていたのですが、面白くもないしハイクラスでもないことに気づいたのでここにそっと置いておきますね。
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