こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。
税理士さんから「国税」「地方税」っていう言葉を聞いたことはありませんか?
というか私が昨日の『決算日はいつがいい? 気をつけるべき点3つ』の記事で不用意に「地方税」という単語を使ってしまったので、一応解説記事もつくっておこうと思った次第です。
正しい定義はともかくとして、小規模企業の経営者の方向けに概要をまとめてみました。
税金の分け方
税金の分け方っていくつかありまして、
- 何に対してかかっている税金か(所得課税や消費課税や資産課税)
- 自分で申告するのか、役所から「この金額を納めてね」と言われるのか(申告納税方式と賦課課税方式)
- 自分自身で役所に払うのか、負担しているのは自分だけどほかの人が代わりに役所に払うのか(直接税と間接税)
といったようなものがあり、このほか分け方の一つとして「税金が国に行くのか、地方に行くのか」というものがあります。
国税と地方税の違い
法人の申告をするとき、私がかつて思った疑問の一つに、
「なんで申告書をいくつも出さなくちゃいけないんだよ」
というものがありました。
分けて出させているのはお役所側の都合だよなあ、とは今でも思っていますが、一般的な会社さんに関係ありそうな税金を国と地方とで分類すると以下のようになります。
税金の種類 | 申告等する所 | 税金が行く所 |
法人税 消費税 所得税 相続税 贈与税 酒税 ガソリン税 自動車重量税 印紙税 登録免許税 関税など | 税務署 | 国 (国税) |
法人住民税 法人事業税 地方消費税 固定資産税 自動車税 軽自動車税 自動車取得税 軽油税など | 都税事務所 県税事務所 市役所など | 都道府県 市区町村 (地方税) |
この「税金が行く所」に着目して「国税」「地方税」などという分け方をするわけですね。
(税金によっては「申告・納付する所」と「税金が行く所」が違うものもあります)
ガソリンが国で軽油が地方ってなんだよ、重量税が国で自動車税が地方ってなんだよ、というのがこれを知ったときの私の感想でした。
また、ごちゃごちゃするので載せませんが、地方税は更に「都道府県に行くもの」と「市区町村に行くもの」とがきっちり分かれています。
なので、法人が申告をするとき(決算をするとき)に「国税」「地方税」という単語が出てきたら、
- 国税 … 法人税、消費税
- 地方税 … 法人住民税、法人事業税
という意味なんだなと思ってください。
(おまけ)消費税と所得税
消費税
上の表で「ん?」と思われた方がいるかいないかわかりませんが、税金の種類の中に「消費税」と「地方消費税」というものがあります。
消費税は今8%ですが、実は国の分6.3%と地方の分1.7%とで金額が分かれているのです。
この上の赤い四角が国の分、下の青い四角が地方の分、としてそれぞれ計算しているわけなんですね。
とはいえ申告も納付も税務署に対してだけすれば、あとは税務署が勝手に分けてくれるので、手間が余分にかかるというものではありません。
所得税
これは個人の所得税も同じで、
個人の確定申告書、画像はBのものですが、「第二表」のこの赤い四角の部分に地方に関係する項目を記入するようになってまして、税務署に申告さえすれば税務署が地方に回してくれます。
納付は6月ごろ役所から納付書が送られてきます(会社から天引きされている方は会社に送られます)。
まとめ
要は法人が申告をするとき(決算をするとき)に「国税」「地方税」という単語が出てきたら、
- 国税 … 法人税、消費税
- 地方税 … 法人住民税、法人事業税
と思ってくださいね、ということでした(法人税だけを「国税」と言うこともあります)。
これも余談ですが、この「法人税」「法人住民税」「法人事業税」は連動しているため、3つをひっくるめて「法人税等」という言い方をします。
決算書(損益計算書)には「法人税、住民税及び事業税」という名前が出てきたりもしますが、これが「法人税等」の正式名称みたいなものなので、意味するところは同じです。
ほかの分け方は「そんなに細かく知っても」という感じなんですが、申告納税方式と賦課課税方式の違いは知っておくと役に立つかもしれないので、いずれまとめるかもしれません。