こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。
よくも悪くも、税理士として仕事をしていると、
「はああ、なんかすごいんですね」
と言っていただけることもあれば、
「税理士って嫌いなんですよね。よくて節税の提案をするぐらいで、経営の話ができないから」
と率直に言っていただけたこともあります(率直な意見はなによりありがたいです)。
これについて謙遜でも卑下でもなく思うことがあったので一度言葉にしてみます。
目次
「数字が違和感を放つ」という感覚 税理士のデータチェック方法一例
毎年2月16日~3月15日は多くの個人の方の確定申告の期間で、独立してからはじめての確定申告期間でした。
はじめてご依頼くださった方など、はじめてその事業の数字を見せていただく方も多数いらっしゃったのですが、私は「正しくできているか」という観点でチェックをするとき、どんな会計ソフトであっても「総勘定元帳」というものをExcelとして出力して見ることが多いです。
↓ 「総勘定元帳」というものをExcelにするとこんな感じ。
(サンプルです。項目は省略しまくっています)
「なんか変じゃない?」を見つける
数字になると途端に「うわ」と苦手意識を持たれる方は多いと思いますが、ここに並んでいる数字はすべて、その方(その会社)が
- どなたかに商品・サービスを売った
- どなたかから商品・サービスを買った
などの行動ひとつひとつが数字になっているだけのものです。
つまりこれはただの数字ではなく、これらひとつひとつに誰かの思いや行動が詰まっているのです。
(かっこつけて言いました)
で、税理士業界で働く方の数だけ方法はあるでしょうが、私の場合、ひたすらこういうのを見て「なんか変じゃない?」を見つけます。
たとえば、
ここは「8/1 80,000円」という同じ日付・相手・金額の取引が2つ計上されています。
これは売上を二重計上してしまった可能性があるのでは、とおかしなところを拾い上げるわけです。
また、
ここには一つだけB社が混じっています。
この場合、
- A社なんだけど間違えてB社と入力してしまった可能性
- B社は正しいが、A社の3月の売上が計上されておらず、売上が漏れてしまった可能性
も考えられます。
また、
一つだけ「買掛金」という勘定科目が混じっています。
これも入力ミスや、特殊な取引だった可能性が考えられる、という感じです。
「数字が違和感を放つ」という感覚
多分同じ税理士業界で働いている方は共感していただける気がするんですけど、「数字が違和感を放つ」みたいな感覚がすることがあるんですよね。
数字が「ここだよ」って少しおかしなところを教えてくれるというか。
それはデザイナーの方がいろいろなデザインを見て「ここの曲線はこうしたら」と思うのであったり、ライターの方がいろいろな文章を見て「ここはこういう表現のほうがいいんじゃ」と思うのであったりすることにすごく似ているのではと考えています。
私は不器用だから手芸なんてまったくできないし、より効果的な広告を模索してメディア運営をすることもできないし、婚活の仲介として人と人をつなげることもできないし、髪を切ったり料理つくったり絵を描いたり人を癒やしたりすることはできません。
でもそれでいいんでしょう。
自分ができないことを人にしてもらう。その仕事に敬意を持ってきちんと対価を払う。
世界は君ができない仕事であふれている。
だから補い合える。
だから自分にできる仕事を全力でしようと思える。
それはなんのてらいもなく美しいことだよなあと思います。
「しょせん税理士」でいいんじゃないかと思う
だからたまーに褒めていただけることがあっても、税理士であること自体がすごいとはまったく思いませんし、実際まったくすごくも偉くもありません。
また、もし「しょせん税理士が」と経営者の方が思ったとしても、卑下でもなんでもなくその感覚も正しいものだと思います。
(実際態度が偉そうなだけの方は多いですし)
「税理士」自体にはプラスもマイナスもなくって、ただ私が一個人として、
- 事業の数字をお客さんの経営の役に立つものになるよう提示することができる
- 数字から資金繰りを改善するための提案をすることができる
- 借入(融資)を受けることができるよう、決算書や事業計画の改善案を提示することができる
- 税制を理解してお客さんの役に立つようリスク開示や提案をすることができる
- お客さんが苦手な手続きを代行することができる
といった仕事をすることができてはじめて、だれかのお困りごとを解決してはじめてビジネスとして成立する、「ありがとう」を言ってもらえる可能性がある、というだけの話なんだろうと思うからです。
おわりに
こういう話を書くと大体まとまりがないまま終わります。
ただ今回確定申告でいろいろな方の数字を見せていただいて、『好きでしかたがない仕事 税理士の仕事』でも書いたように、
「やっぱり数字見るのおもしろいよおおおお」
と一人で興奮したためちょっと現時点での考えを書いてみました。
数字が苦手な方にこそ、「数字から見えることってこんなにあるんですよ」っていうことを、図やグラフを使ってできるかぎりわかりやすく説明していきたい。
そこを追求することは続けていきたいなあと思っています。
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