ブログを始めてもうすぐ2カ月が経ちますが、そもそも会計とはなんなのか、みたいなところを一度も掘り下げていないことに昨日気がつきました。
また、思い返すと自分の言葉で考えてみたことがありませんでしたし、いい機会なのでまとめてみます。
が、会計や簿記の知識がまったくない方にも伝わるようにと、正確さをかなぐり捨てて概念が伝わるかどうかだけ考えて書くつもりなので、詳しい方はご容赦くださいませ(^_^;)
目次
会計とは
タイトルの「会計ってそもそもなんのために必要なの?」という疑問。
これに対する答えを自分なりに表現すると、ある会社の状況をみんなが客観的に評価できるようにすること、これが会計の目的なのかなあと考えました。
みんな評価したい
会社が持っている財産には、そこで働く人や商品、販売のためのノウハウや将来のための投資、などいろいろなものがあって、中には社長の言葉でしか表現できないものもあると思います。
ただ社長の言葉はどこまでいっても社長の主観によるものです。
その会社に関わろうとするいろいろな立場の人は、まず、
- その会社にお金を貸したらきちんと返ってくるか
- 出資をしたらそれに見合うリターンがあるか
- 取引をしても潰れない会社なのか、料金を回収できない事態にはならないか
など、それぞれの目的から「その会社のことを評価したい」と考えます。
でも、評価できるものが社長の言葉だけではどこまで信用してよいか判断ができません。
そこで、みんながつかうお金(金額)を基準にして会社のことを評価しよう、と考えるようになりました。
会計は基本的に過去のこと
先ほど少し挙げましたが、現在ある会社で働いている方たちがどんなに素晴らしいか、頑張っているか、どんなポテンシャルを秘めているのか、そういったものは決してお金では表せません。
しかし一年間に支払ったお給料の金額ならお金で表せます。
またその会社が将来のためにどんな投資をしていて、それが将来の利益にどうつながっていくのか、そういったものも決してお金では表せません。
でも一年間に投資した金額ならお金で表せます。
会計というものは基本的に過去のことです。
それがいいか悪いかではなく、なんらかのものさしで何かを計ろうとする場合、すべてを汲み取ることはできません。
会計は、過去の、その会社が行った一つ一つの取引を丁寧に積み重ねていったもの。なので金額に表せないものは、原則として反映されないことになるのです。
(見積もり計算をすることはありますが、あくまで原則の話です)
会計基準とは
さて、その会計で、とある2社のことを評価してみることにしましょう。
たとえばA社とB社が同じ商品を売ったとします。このとき、
- A社は売上を100円計上し、商品を仕入れた金額60円も計上しました。
- B社も売上を100円計上しましたが、B社は利益をたくさん出して「うち儲かる会社でしょ?」とドヤ顔したかったので商品のことは無視しました。
とそれぞれ自由に処理をすることがゆるされると思いますか?
おそらくほとんどの方は「B社はえらく好き勝手してるな」という印象を受けるのではないでしょうか。
こんなことをしていては、せっかくお金を基準にして評価しよう!という流れができたのに、一体本当の利益はいくらなのかわからなくなり、会社の言うことがまったく信用できなくなってしまいます。
なので、こういうときは売上に計上しなさいね、こういうときは費用に計上しなさいね、といったルールをみんなで話し合って決めることにしました。
これが会計基準で、会計基準はつまり公平に会社を評価するために決めたルール、といえばわかりやすいでしょうか。
ちなみに
ちなみにですが、税理士事務所は昔「税金の金額を計算するため」に利益を出してさえいれば仕事として十分でした。
なので、昔ながらのやり方を続けている税理士さん、そういうやり方しか教わったことのない税理士さんは、この「会計基準」というものをびっくりするほど考慮しません。
そういった場合は、この「会計基準」に従うだけで決算書の評価が高まることも多いです。
(私が『借入があるなら決算書を見直そう!』というカテゴリーで書いている記事は、会計基準に従いながら決算書の評価をどうよくするか、という視点で書いています。あそこに書いていることは基本的に内容としても正しく、かつ評価がよくなる処理です)
決算とは
これまで過去の記事で結構適当に「決算決算」と言ってきましたが、決算とはつまり何をすることなのでしょうか。
簡単に言うと、その会社を評価するための成績表を正しく出すことが決算であると言ってよいでしょう。
成績表とは、
- 貸借対照表 ⇒ 決算日時点での財政状態を表すもの(今までの積み重ね)
- 損益計算書 ⇒ 一年間の経営成績を表すもの(今期どれくらい利益が出たか)
とこの2つの表が中心になったものをいい、「決算書」や「財務諸表」という名前で呼ばれます。
そしてこの成績表は、会計処理を一つ一つ積み重ねていくことでしか出せないのです。
会計の活用方法
上で少し書きましたが、じゃあ会計基準を守って、決算で正しい成績表を出したとして、それをどう活用できるのかをまとめてみます。
資金調達力を向上させる
「資金調達力」というと何やら小難しくなりますが、要は銀行からの評価がよくなる、ということです。
たとえば100点中80点くらいは取れている会社さんがあるとして、上で書いたように「会計基準?何それ今日の晩ごはん?」と鼻をほじっているような税理士事務所がつくった決算書は、残念ながら60点くらいのものになってしまっていることが多々あります。
(80点が正しい中身なのに、です)
もしそうであれば、
- 会計基準に従うことで本来の80点に戻せる
- また、銀行としても会計基準に従った正しい決算書を評価したいので、銀行からの信頼性も増す
ことになり、銀行からの評価が上がって、お金が借りやすくなります。
(私はいついかなるときも借金をしているべきとはまったく思いませんが、しかし借りたい場面で満額借りれない状況は非常に望ましくないと考えています)
取引先からの信頼が厚くなる
すべての会社さんにある場面ではありませんが、特に大手と取引する際「決算書を見せてくれ」と要求されることがあります。
これは相手が取引しても問題ない相手かどうか、決算書を通して見極めようとしているんですね。
(急に倒産されてしまうと代金が回収できなくなったり、仕事がしてもらえなくなったりするので困るのです)
小規模の会社さんですと会計基準に従ってつくられていないことも多いので、ここでもしっかりした決算書をつくることで評価が高まり、受注が拡大したような事例もあります。
自社の分析に活かせる
今まで「評価される」ことを中心に話してきましたが、この「自社の分析に活かせる」が一番大事な点です。
きちんとした決算書をつくることで、自分の会社を自分で評価する、分析するためにつかうこともできるのです。
いまのやりかたで利益が出ているのか、どこを改善すればいま以上によくなるのか、社長の感覚だけでなく数字で把握することで見えるものは多いです。
どんなに社長の感覚で「いまめっちゃ調子いいかも」と思っていても、きちんとした決算書を出したうえで利益が出ていなければ、社長以外だれも「調子いい」とは思ってくれません。
原則として、利益が出せなければ会社にお金は溜まりません。
お金がなければ、何か新しい事業を始めることも、苦しい局面で耐え忍ぶこともできず、事業を継続していくことができません。
だからきちんとした決算書で、利益を計算して、「うちは利益を出せる会社です」とほかの人に言うことができないと、決して評価はよくならないのです。
まとめ
というわけで、少々内容がとっ散らかってしまいましたが、
- 会計とは
- 会計基準とは
- 決算とは
- 会計の活用方法
ついてまとめました。
そもそもは「中小企業の会計に関する指針」というものについて書こうと思っていたのですが、「そういえば会計ってそもそもなんだ」と自分でも言語化できていないことに気づいてまとめてみました。
近いうちに「中小企業の会計に関する指針」や「中小企業の会計に関する基本要領」についても書いてみたいと思います。
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■ その後書いた関連記事
・『会計ってそもそもなんのために必要なの?(超入門編)』
・『中小企業の会計に関する指針って何?適用するメリット3つ』
・『ちゃんと知ってる? 「中小会計指針」の保証料割引制度と、指針と基本要領のちがい』