こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。
「税務調査に入られやすい業種とかあるのかな。自分ところがそれだったら嫌だなー」
そんなことを思ったことはありませんか?
先日国税庁からそういった業種が発表されまして、厳密に言うと「税務調査で不正が見つかりやすい業種ベスト10」なのですが、自社の業種と不正がよく見つかる業種が同じだというだけで目をつけられやすくなってしまう、というのも実際のところとしてあります。
(税務署も調査する以上なにかを見つけて帰りたい、と考えるので、そういう業種を狙ってくるのですね)
もし御社がこれらの業種に該当してしまった場合、日頃から書類をしっかり残しておくなどして、ある程度税務調査を視野に入れた整備をしておきましょう。
国税庁から発表 税務調査に入られやすい業種
「平成27事務年度 法人税等の調査事績の概要」
先日、国税庁から「平成27事務年度 法人税等の調査事績の概要」というものが発表されました。
これは何かというと、国税庁が1年間調査してわかったことをまとめました、というものです。
内容的には、
- 調査をした件数
- それによって出た追徴税額
- 不正に消費税の還付申告をした法人への調査結果
- 無申告の法人への調査結果
- 海外との取引などがある法人への調査結果
などをまとめているものですね。
事務年度とは
ちなみに事務年度というのは、7月~6月の一年間のことです。
税務署は7月に異動があるのですが、この事務年度というものに合わせてそうした時期になっているのですね。
税務調査で不正がよく見つかる業種ベスト10
そしてこちらが税務調査で不正がよく見つかる業種ベスト10です。
この「不正が発見された割合」が高いものから並んでいるということですね。
文字に起こすとこんな感じ。
- バ ー ・ ク ラ ブ
- 大 衆 酒 場 、 小 料 理
- パ チ ン コ
- 自 動 車 修 理
- 廃 棄 物 処 理
- 土 木 工 事
- 一 般 土 木 建 築 工 事
- 職 別 土 木 建 築 工 事
- 貨 物 自 動 車 運 送
- 再 生 資 源 卸 売
一部名前だけだとわかりにくい業種もあるので、簡単に解説だけしていきます。
1位 バー・クラブ
これはもちろんそのまんまバーとクラブですね。
夜のお店は現金での売上も多く、去年も1位なので王者として連覇を果たしたともいえます。
(1位が66.3%、2位が43.1%という、この絶対王者感)
2位 大衆酒場、小料理
これもそのまま居酒屋や小料理屋です。
現金での売上が多い業種は不正もしやすい面があるので、マークされやすいとも言えます。
3位 パチンコ
パチンコは今年3位ですが、去年は2位のため上位の常連とも言えます。
これは業種的にかなり有名ですね。
4位 自動車修理、5位 廃棄物処理
これらもそのままです。
廃棄物処理も現金でもらうことが多く、マークされやすいという噂は前から聞いていました(廃棄物処理は去年4位)。
6位 土木工事
このへんから少しどんな仕事なのかわかりにくくなってきますね。
日本標準産業分類といういろいろな業種を総務省が分類したものがあるのですが、基本的にはこの分類を使って分けられています。
土木工事業はかなり広く、ひと口に説明するのが難しいです(表も細かい!)。
イメージしやすい一般的なものを挙げると、道路工事、駐車場工事、上下水道工事、宅地造成工事。
あと特徴的なものを挙げると競技場などの工事、ダム工事、地下鉄工事など、という感じでしょうか。
表に出せないお金が多いという噂(噂ですよ!)も聞くのでそのせいなんでしょうかね(^_^;)
土木で3つランクインしていることからもわかるように、昔から上位に入っているのがこの土木建築系です。
7位 一般土木建築工事
次に「一般土木建築工事業」です。
表を見てもなんのこっちゃかわかりませんし、正直私も正確なところはわかりません(笑)
ただ、
- 土木工事業の説明に「一般土木建築工事業に属さないで」という一文がある
- 一般土木建築工事業の説明に「土木施設と建築物をいずれでも完成する能力を有する」という一文がある
ことから、まず一般土木建築工事業かを判断して、当てはまらなければ土木工事業になる、という順序で考えていくとわかりやすいでしょう。
そして一般土木建築工事業かは、たとえば競技場などの工事を請け負った場合、外注などせず、土地の造成から競技場の建設まで一通りできる(している)会社が該当する、と考えたらよさそうです。
8位 職別土木建築工事
更に出てくるのが「職別土木建築工事業」です。
私はこのへん初めて見たとき、どんだけまぎらわしい名前をつけてるんだよ!と心のなかで叫びました(^_^;)
さっきの一般土木建築工事業は、少し大きな分類として「総合工事業」というものに該当するのですが、こちらは「職別工事業」というものに該当します。
ざっくりとした分け方としては、
- 総合工事業 ⇒ 全体の工事を行う
- 職別工事業 ⇒ 部分的な工事を行う
と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
(コンクリートの工事だけ行う、など)
9位 貨物自動車運送
これはトラックなど、自動車をつかって荷物を運ぶ事業をしている会社さんが該当します。
これは個人的に意外でしたが、去年も9位なのでそういう意味では一定数ある業種なのかもしれません。
10位 再生資源卸売
これも名前だけ見るとわかりにくいですが、
- 空瓶や空缶など
- 鉄などのスクラップ
- 古紙
なんかを回収している業者さん、がこの「再生資源卸売業」に該当します。
税務調査に入られやすい業種のまとめ
というわけで、「税務調査に入られやすい業種ベスト10」を国税庁発表の資料をもとに簡単に解説してみました。
自社がきちんと処理しているかが何より大切ではありますが、冒頭でも言ったように不正がよく見つかる業種だというだけで目をつけられやすくなってしまう、というのも実際のところとしてあります。
もしこれらの業種に該当してしまった場合、日頃から書類をしっかり残しておくなど、ある程度税務調査を視野に入れた整備を心がけましょう!