決算日はいつがいい? 気をつけるべき点3つ

超入門編

 

以前書いた『決算日とは』の記事の続きというわけでもないのですが、決算日を決めるにあたって気をつけたほうがいい点を3つまとめました。

 

前提(申告するのは2ヵ月後)

説明に入る前に、9月決算の会社さんであると仮定して用語の解説だけしますね。

会社というのは決算日の2カ月後に税務署に申告しなければならないという決まりがありますので、次のそれぞれの用語はこんな意味だと思ってください。

 

決算月 → 決算を行う月(例の場合は9月)

申告月 → 申告を行う月(例の場合は11月)

 

※ 申告を決算日の3カ月後にする「延長」という方法もあります。それはまた今度まとめます。

→ まとめました。『2カ月以内に申告なんてイヤ! そんなあなたに延長の届出!』

 

 

① 資金繰りに余裕のある月を申告月にする

これは申告月に多額の納税が発生するためです。

 

決算日の2カ月後には

  • 法人税
  • 地方税(都道府県や市区町村に払う税金)
  • 消費税

といった税金を納める必要があります。

これはたとえ上記の「延長」というものをしていたとしても、基本的にはこの時期に税金を納めます。

 

利益が出ている会社さんでは100万200万は法人税などがかかったりしますし、消費税に関しては利益が出ていなかったとしても100万単位での納税が発生することも多いです。

私は会社に倒産のおそれがある場合には「税金の支払いは一番最後にしてください」とお伝えするようにしていますが、それでも銀行に借入の申し込みをする場合など、納税証明書を出す必要のある場面は多々ありますので、通常はきちんと期限までに納めることが望ましいです。

なので、資金に余裕のない時期にこれらの税金のタイミングをあてるよりも、少しでも資金に余裕のある時期のほうが、資金繰りが楽になります。

 

 

② 最も儲かる月は決算月に持ってこない

これは節税対策がしづらいためです。

 

上記の例の会社さんの場合、9月に最も売り上げが立つようであれば、9月決算にすることを避けるべきです。

節税対策はその期の業績を見て、

・当期はこれぐらいの利益の見込みだからこうしましょう

・当期は赤字の見込みなので、来期利益を出すための経営計画づくりに注力しましょう

というように判断することが多いです。

 

なので、儲かる月が最後に来ると、「当期は赤字の見込みですね」と言っておいて一気に利益が出てしまって節税対策が手遅れになる、ということがあり得るんですね。

そういった予想を立てづらくなるため、ずらせるのであればずらすほうが望ましいです。

 

 

③ 会社を設立する場合は、決算まで7カ月以内にする

これは消費税の関係ですね。

 

この条件を気にしなければいけない会社さんは、次の条件を2つとも満たす会社さんです。

  • これから会社を設立する
  • 売り上げが半年で1,000万円を超え、なおかつ人件費も半年で1,000万円を超える見込み

 

設立当初からある程度の売り上げが見込める会社さんは、第二期で消費税を納める義務が出てきてしまうので、設立日から最初の決算日までを7カ月以内にしたほうがより長く消費税を納めずに済みます。

(説明すると長くなるので詳細は割愛しております)

 

検索すると「消費税を納めずに済む期間をできるだけ長くするべきだ」というブログが多々見つかりますが、これは消費税の改正が入る前のブログです。

2016年7月時点では法律が変わっていますので、くれぐれも注意しましょう。

 

※間違いなく売り上げが1,000万円いかない場合、または人件費が1,000万円いかない場合は、期間は気にしなくて大丈夫です。

ただほかにも資本金1,000万円以上はダメとか、親会社が一定規模以上だとダメとか、細かい規定が多いので一度専門家に相談したほうが損はないと思いますよ。

 

 

(おまけ)設立日は1日にしない

これは「決算日を月末にする場合」ですが、税金には

  • 均等割(きんとうわり)

という、赤字でも納めないといけない税金があります。

 

これがひと月ごとにかかってくるんですが、1日でも欠けているとそのひと月分をカットしてくれるのです(設立から決算日まで1カ月しかない場合はカットしてくれません)。

一般的な中小企業さんでしたらそこまで大きい金額ではないですが、税金は抑えておくに越したことはありませんので、「キリがいい」以外の理由がないのであれば、設立日は2日以降にされることをおすすめします。

 

これは設立するときだけでなく会社を移転するときも同じですね。

(詳しい内容は『会社の移転手続き一覧 1日の移転を避けたほうがいいたった1つの理由』にまとめました)

 

 

 

その他

タイトルで「3つ」と言っておいてなんですが、上の3つよりは重要度が低いものもご紹介します。

 

決算月は在庫が少ない月がよい

決算のときには必ず棚卸(たなおろし。在庫の数を数えること)をするので、仕入れの関係で在庫が多くなる月だと数えるのが大変になります。

(毎月やっている会社さんは気にしなくて大丈夫です。経営的には毎月やるのが望ましいのですが)

 

申告月はひまな月がいい

税理士事務所が決算後の1カ月~2カ月でいろいろな処理をする関係で、どうしても税理士事務所から「これなんですか」「この資料ください」といった問い合わせが増えます。

これが忙しい時期にかぶると非常にめんどくさいです。

 

何か事情がなければ3月決算は避ける

これは『決算日とは』の記事で書いたとおりですね。

 

いずれにせよ同記事で書いたように決算日は変更できます。

少しでもご参考になれば幸いです。

 

 

 

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<あとがき>

 

・昨日から「親指シフト」という入力方式を導入することにしました。

20代前半の頃にこの方式で入力してまして、多分6年はブランクがあるのですが、ふしぎと染みついていて打てるものですね(一部思い出せないキーもありますが)。

「親指シフト」とは何かというのも、布教を兼ねてそのうちまとめたいなあと思います。

 

・今日人前で話す機会があったのですが、「60秒」というつもりで「60分」と言ってしまい、しかも話し終わったあとで気がついたので、心のなかで一人「長っ」と叫びました。

 

 

 

 

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