こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。
きのうお客さまと電話していて、契約書に関しての話になり、「署名って書いてあるけどゴム印押しておけばいいんだよね?」というご質問を受けました。
結論から言うと「署名」と書いてあるときは自分で手書きするのが原則、ということになります。
(たいていハンコも押すので問題にならないことが多いですが)
今回は「署名」と「記名」のちがい、ついでに「自署」「サイン」「捺印と押印のちがい」についてもまとめてみます。
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署名と記名の違い 自署とサインの意味
「署名」と「記名」、並べてみると「ただちょっと漢字がちがうだけじゃん?」という感じがしますが、法律上この2つにはハッキリとしたちがいがあります。
先に簡単にまとめてしまうと、
- 署名 ⇒ 本人の氏名を自分の手書きで書くこと
- 記名 ⇒ 氏名を書くこと(印刷してあってもゴム印であってもOK)
というちがいがあります。
効力にちがいもありますので、それも含めて詳しくは以下!
(まとめとして比較表もつくっています)
署名と自署とサイン
上にも書いたように、署名というのは本人の氏名を自分の手書きで書くことを意味します。
この「自分の手書き」というのが重要で、こうすることによって「本人が自分の意思で契約したんだな」ということが客観的に判断できるようになります。
知り合いの弁護士さんにも聞いたのですが、もし裁判をすることになっても非常に証拠能力が高いのが署名ということです。
(筆跡鑑定というものがあるぐらいなので、筆跡には必ず本人の癖が出ます)
もしハンコがなくても署名さえしてもらえれば証拠能力の高い書類になります。
ちなみに「自署」や「サイン」も同じように自分の手書きで名前を書くという意味。
個人的には「自署」だとより手書き感が出るような気がします。
(メールの下につけるやつも「署名」なのでちょっとまぎらわしいですね(^_^;)あれは全然別もの!)
記名
こちらも上に書いたように、記名というのは印刷したものであれゴム印であれ氏名が表示されているものを意味します。
つまり記名自体は本人でなくてもできるので、偽装が簡単ということですね。必然的に証拠能力は署名よりぐっと低くなります。
なので、記名のときはだいたい「記名押印」といって、押印(印鑑・ハンコを押すこと)とセットになっていることが多いです。
「ハンコを持っているならまあより本人っぽいかな」ということですね。
でも結局よくある名字なら100円ショップで買えちゃいますので、重要な契約の場面では実印(と印鑑証明書)になることがほとんどです。
署名と記名の比較表
まとめとして簡単な比較表もつくってみました。
ついでに法的根拠
あんまり必要ではないと思いますが個人的に興味があり調べてみました。「署名=記名押印」という規定が商法にあります。
これを知るまで私のイメージ的には実印が一番上だったんですが、前提としてはまず「署名」がある、ということのようですね。
(「そもそも署名とは」という定義は民法や商法には見当たらなかったので、一般的な用例をもとにしているのかもしれません。実印でないとダメ、ということは商法に規定されていませんが、実際的な証拠能力としてはやはり実印になるものと思われます)
第三十二条 この法律の規定により署名すべき場合には、記名押印をもって、署名に代えることができる。
出典:商法(e-Gov)
捺印と押印の違い
こちらは署名と記名とちがって、大きな違いはありません。
捺印=押印、と考えて問題ないようです。
むかし読んだ本に、
- 捺印 ⇒ 「署名捺印」のように署名とセット
- 押印 ⇒ 「記名押印」のように記名とセット
という記載があったので、まあそういう使い方が一般的なのかな、ぐらいの認識でも大丈夫でしょう。
(上の商法でも「記名押印」とありますね。ただ効力に違いが出るわけではありません)
署名と記名の違いのまとめ
というわけで、
- 署名 ⇒ 本人の氏名を自分の手書きで書くこと
- 記名 ⇒ 氏名を書くこと(印字でもゴム印でもOK)
- 捺印と押印はほぼ同じ
という内容についてまとめました。
特に個人事業主や経営者の方は契約を結ぶ機会が多いので、「ハンコがないときは署名でも高い証拠能力がある」ということは覚えておいても損はありません。
そのほか、時効についてもきちんとした知識を持っておきましょう!
⇒『税務調査で時効を指摘されたらニヤニヤしよう! 時効の援用とは』
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